期待させないように、慎重に言葉を選んで。誤解させないように、仕草を気遣って。その優しさが、刃物としてオレを切り刻む。大切に考えてくれていることがよく分かるから、取り返しがつかないほどズタズタに裂かれていく。
　これほどまでに距離を置かれているのに歩みを止められないのは、もはや執着と言っても過言では無い気がする。あいつには見せない困った笑顔がたまらなくて、今日も許容範囲を超えた。
　どんなに手酷くしたって、お前はオレに優しいから何も言わない。体を重ねることは許しているのに、隣に立つことだけは許してくれない。当然だ、あいつと契りを結んでいるのだから。オレがコンゴウ団のリーダーじゃなけりゃ、とっくに拒まれているだろう。
　悔しいけど、大切なのはオレじゃなくてあいつだ。だけど気づかないフリをし続ける、その方が誰も不幸にならない。許せなくなるまで、勘違いさせてくれ。

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