生きづらい。
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2021/11/13
※相互さんの差し入れ夢
「ほら、これ」
ライブツアー帰りのネズさんから手渡されたのは、ちいさなふくろだった。促されるまま両手を差し出せば、その上にポスッとした音が聞こえてきそうな重量。加えて、何やら硬くて高さもある。
……なんだろう? わたしの誕生日はまだ先だし、ツアー中に記念日があったわけでもない。何より、中身の想像が全然つかなかった。重くて、硬くて、高さがあって……。うーん。
あ、開けてもいいですか? ネズさん。
「もちろんいいですよ。きみのために買って来たんだからね」
どうしても遠慮がちになってしまうわたしに、ネズさんは少し困ったように笑った。わたしのために…。そう言われると照れくさくて、でもとっても嬉しくなる。そうだ、わたしのためなら、わたしが開けないと。ドキドキしながらふくろを開けてみた。
──入っていたのは、透明なガラスで出来たもみの木と、ピンク色のチャームたち。部屋の明かりに照らされて、プラスチックの透明な箱の中かれでも、キラキラと煌めいている。
わ……! きれい……。
「ツアー先でクリスマスマーケットやってましてね、きみが好きそうなやつがあったから買ったんです」
ガラスの透明感に惹き込まれていると、ネズさんが横から経緯を放してくれた。ネズさんがくれるものなら、どんなものだって嬉しいけど、こうしてわたしのことを考えてプレゼントしてくれるだなんて。嬉しい以外の言葉が見つからなくて、胸がキュッとなる。
「喜んでくれましたかね?」
もちろんです! わざわざありがとうございます…!
この嬉しさを、なんて表現したらいいのか。それが分からないわたしは、必死にお礼をネズさんに伝えた。
けれどネズさんは、わたしの言葉にあの笑顔を消してしまった。それから、わたしに向けていた視線を下へと外し、何か考え込むように首元のチョーカーを右手でいじる。
「……“わざわざ”ってわけじゃないんだけどね。まあ、せいぜい来たる日を楽しみにしてますよ」
来たる日? 楽しみ? な、なんだろう……?
ネズさんの楽しみなんて、これこそ想像つかない。ネズさんの好きな音楽とかかな? でも多分違う気がする。お子様なわたしには全然分からないや。
それよりもわたしは、ネズさんからの思いがけないプレゼントに、ずっとずっと心が躍っていた。大好きな人からのプレゼントだ。大切にしまっておきたい気持ち半分、飾って自慢したい気持ち半分。飾るとしても、何処がいいかなあ。ガラスだし、日向の窓辺に置いてみると良さそう。
目に見えるほどニマニマルンルンしていたのか、ネズさんにクスッと笑われてしまった。ちょっぴり恥ずかしかったけど、でもネズさんが笑っていてくれるのなら、その恥ずかしさも愛おしい感情になる。
そして、これから約一ヶ月後のクリスマスに、ネズさんととびきり甘い聖夜を過ごす事態になることを、この時のわたしはまだ知る由もなかった。
write:2021/11/13
edit :2021/12/12