top of page

2021/10/31

※ハロウィンネタ

​ 

「なーなー、彼女がハロウィンにめっちゃエロいコスプレしてたらどうする? オレ様メイドとかいいなー! ミニスカだとなお良し!」


 なんてキバナのバカバカしい発言に、一瞬でもあいつのメイド姿を想像してしまった。それからトーナメントの間ずっとあいつのあられもない姿を考えてしまって、欲に忠実で浅はかな自分が鬱陶しく感じる。特にキバナが最後に言い残していったサキュバスが、ムカつくほどにしっくりきてしまった。キバナと同等の趣味だなんて、おれも落ちぶれたものだね。
 そもそもの話、あいつがそんな趣味無いし、ハロウィンにうつつを抜かすような女では無いので、こんな妄想は妄想で留まる。──はずだった。


「ち、ちがうのネズ…! これは、これは友達に押し付けられて! わたしの趣味じゃないから! ただ、サイズがどんなものか着てみただけで…! し、試着! そう! これは試着なの! 決して好きで着てるわけじゃないから!」


 家に帰ったら、エナメルのボンデージ姿のあいつが居た。ショートパンツのから垂れ下がる紐は、おそらく尻尾。丈の短いビスチェの背中には控えめな翼があれば、頭にもご丁寧にツノ付きカチューシャまで身につけている。まさか妄想が実現するだなんて。予想だにしない出来事に思わず硬直した。


「き、着替えるから! あっち行ってて!」


 布面積がいやに少ないのは、どういうことか。もう“そういうこと”にしか用途がないのは明白だった。屈んで服をかき集めて、わたわたと寝室へと逃げ込もうとする様子は、正直誘われている感しか無い。逃げられる前に、ドアを押さえつけて開けられないようにする。ドン! と比較的大きな音を立ててしまって、彼女はビクリと震え上がった。いつも強気な彼女のいじらしい様子に、加虐心がむくむく湧いてくる。


「ほら、おれに言うことあるでしょ?」

 

write:2021/10/31

​edit  :2021/12/12

bottom of page