top of page

2020/08/24

最近、歌詞が紡ぎ出せなくなってきている。今までどんな気持ちも、歌詞として、音として、音楽にして昇華することが出来ていたというのに。おまえへの想いを言葉にひねり出しても、ボロボロ崩れてしまう。音を奏でてみても、全てが陳腐に感じてしまう。おかげで、今のおれの感情はめちゃくちゃだ。胸懐を思うように吐き出すことが出来ず、さらに苛立ちが募る。苦しい。辛い。──憎い。そんな負の感情ばかりが、おれの中で渦巻く。作詞のために広げたノートの白さに対して、おれの心はインクが染み渡ったかのように真っ黒だった。おまえはいつも、おれが目の前に居るというのに、その目には誰も映さない。おれはもちろん、誰にも期待していない瞳だった。それなのに、人の闇だけはしっかり見ているようで、きっとおれの濁り切った腹底さえも見透かしている。しかし、それを理由におれを拒みはしなかった。そんなとろける優しい輝きを持ちながらも、虚ろに伏せられる瞳をひどく恐ろしいと感じているのに、どうあがいても一瞬にして惹き込まれてしまう。得体が知れず、気持ち悪い。それなのに、その瞳に映りたいと心底望んでいる。溜め込んだ想いすべてを吐き出してしまえたら、少しはその水晶体に映してくれるんですか。他の誰でもない、おれだけを。その伽藍堂の瞳に、おれという痛みを刻ませてやりたい。

​ 

write:2020/08/24

​edit  :2021/12/24

bottom of page