生きづらい。
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2020/04/21
※ささくれている関係
酷く扱われることが好き。殺伐とした雰囲気が心地良い。だから、気性の荒いネズとは相性が良かった。人気のバンドマンなんだから、ファンの一人や二人くらい声をかければ付いてくるはず。一夜限りの夢でも良いと願う女の子だって居るはず。「ファンを食う趣味はもうありません」いつだったか、そう聞いたらネズきっぱり言い切った。「前に引っ掛けたら見事に彼女ヅラされて最終的に刺されそうになったんで、それ以降食わないと決めたんですよ」苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。相当トラウマになっている様子に、もう手を出していたのか、とあたしは聞いといて呆れた。「モテる男は大変だねェ」と嘲笑を含めて言ってやれば、「貞操観念ブッ壊れている奴がどれだけ楽か、とても勉強になりましたね」と返される。そりゃあたしのことか。しかし事実なので、何も言い返しようが無かった。あたしはそういう方面ではなかなか有名なビッチであるから、ネズはファンに手を出すよりもあたしの方が安全牌だと判断したのだと思う。ネズはよく、ライブ後にあたしの部屋に押しかけて来ては身体を求めてきた。あたしも断る理由も無いので受け容れる。ネズにちょっと乱暴にされるだけで下が濡れた。痛いくらいが気持ち良かった。玄関先で、バスルームで、ベッドの上で淫らに喘ぐ。はしたなくあさましい、野性的で品性の無い、悪趣味な俗物の交じり合い。恋愛の駆け引きなんて、もうまどろい。運命も本能も無視して、目先の快楽に溺れていたい。だって、人間は性の快楽に抵抗することなんて出来ないのだから。また今日もネズのライブがあるみたいなので、夜の予定を全てキャンセルした。無駄に律儀なネズは事前に連絡をくれる。ネズとのセックスは、合理的で好都合な互恵が成り立つからお手軽なんだ。
write:2020/04/21
edit :2021/12/04