生きづらい。
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2020/04/01
※ネズの浮気(実際にはしてない)
《熱愛発覚!? 人気シンガーソングライターと新人アイドル!! ~楽屋の密会~》
そんなくだらないネット記事のタイトルに、目の前は霞んで、手はかじかんだかのように動かなくなって、仕舞いには呼吸を一瞬忘れてしまった。
彼の言い分には、控え室にわざわざ挨拶しに来たファンだというそのアイドルの子と話していたら、足がもつれたのかヒールでよろめいて、それを受け止めただけ。
うん、分かってる。運が悪かった。彼は何も悪くない。ただ人として当たり前なことをしただけ。ただ、それだけ。
けれど、世間にはその子が彼の彼女だという風に広まっていた。SNSには祝福と僻みが渦巻いてて、正直どっちももう見たくなかった。
彼の恋人はわたしなのに、わたしは世間には存在しない。芸能人同士だからこそ大衆は盛り上がるわけで、一般人が相手では大衆の餌にもならない。芸能界って、そういうところ。
彼女自身の名売りのためか、本当にファンなだけか、それとも恋人の座を狙っているのか。
シンガーソングライターという公の場に出る機会のある職だから、一応それなりの覚悟はしていたけど、いざ直面するとなかなかキツい。
付き合ってからずっと、彼の迷惑にならないよう、自分から一緒に出掛けることを諦めていたのに。
ようやく重なった休日に会える一般人のわたしと、ライブでよく会うアイドルの女の子。長く居る時間より、会った回数が多い方が意識する、と何かの研究であったっけ。
アイドルだから、やっぱり小柄で可愛くてキラキラしていて、わたしには眩しかった。きっとたくさん努力しているんだろうな、対してわたしは平々凡々。ただのほほんと生きているだけで、好きになってもらえたことが不思議なくらい。
だから、彼に他の女の子が居ても、わたしは身を引ける心の準備をしていた。信じていないわけじゃないけど、いつか切り捨てられる覚悟だけはしておきたい。彼のことは心から好きだった。だから、都合のいい女で良い。何かの役に立てているのなら、二番目でも、三番目でも、何だっていい。
「ネズが飽きるまでは、隣に居させてね」
そう言えば、彼は表情を曇らせて口を動かす。ただその声は、もう何も聞きたくなかったわたしには何も聞こえなかった。
write:2020/04/03
edit :2021/12/08