top of page

​2020/10/27

※相互さんの誕生日お祝い​

ネズさんは記念日を面倒臭がっていても、決して忘れることは無い。けれど、わたしの誕生日が迫っていても何か行動している様子を感じられなかった。ましてや一週間前から「朝から出かけます」と予定を入れている始末。昨年は憶えててくれてたのに、忘れられちゃったかな。なんてショックを受けて、誕生日当日はわたしも出かけた。憂さ晴らしするかのように遊び回った。満足感にはいまひとつ足りない心を抱えて、日付が変わる前に家に帰れば、真っ先に目に入るいっぱいの赤。「……帰って来ないかと思いましたよ」珍しく焦ったようなネズさんの声に、この日のためにと準備していた薔薇の花束と、わたしが前から欲しいと話していたアクセサリー。「サプライズにしては、無難過ぎましたかね」なんて自嘲気味に言うものだから、必死に首を振った。わたしに喜んでもらおうと準備していてくれたことが、わたしは何よりもうれしく想う。胸がじんわりと温まって、思わず花束を抱えたままネズさんの胸に飛び込めば、優しく受け止めてくれた。「おれも意地の悪いことしちまいましたけど、今日のきみもなかなか意地が悪かったし、おあいこってことで」ああ、やっぱり、あなたが居ないと、わたしの記念日は完成しないんだね。

write:2020/10/27

edit  :2021/02/09

bottom of page