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​2020/09/21

※某方の呟きより

​※死ネタ

 ネズと付き合って、​​もう3年以上経つ。まだ身内にしか話せていないけど、この間婚約をした。ネズが元ジムリーダーで現シンガーソングライターと、メディア露出が多い有名人なこともあって、式どころか世間に公にするのもいつになるのか分からない。それなのに、大好きな人と結ばれたことが、生きてきた今までのどんなことよりも嬉しくって、浮かれて思わず手に取ったブライダル雑誌を彼の隣で広げる。このチャペルいいねとか、このドレス可愛いとか、気に入ったものを指さして彼に聞いては「おまえが気に入ったのなら何処でも行きますし、どんなドレスも似合いますよ」と照れくさそうに言われたら、それはもう、間違いなく、幸せの絶頂期。奈落のどん底なんて、天にも昇りそうな気分のわたしは、知る由もなかった。

 いつになく、暗い部屋。お腹には、生きてきた今まで感じたことのない、熱さと痛み。不意に脚から力が抜け落ちて、わたしは静かに床に転がった。どうして倒れたのか、突然のことで回らない頭では理解出来なくて、とりあえず何とかして起き上がろうとした。けれど、身体に力が入らないし、わたしの周りがまるでヘドロのようにぬかるんでいて、ただのたうち回るだけ。次第に肺が重くなってきて、呼吸が荒れてきた。暗い部屋の中で、さらに黒い影がうごめく。痺れてきた頭と霞んでいる視界の中で必死に上を見上げれば、見知ったシルエットが銀刃を振り下ろそうとしている。暗闇の中で唯一ぎらつくその光を、わたしは訳が分からないまま、甘んじて受け入れるしか他になかった。

write:2020/09/21

​edit  :2020/10/03

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