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​2020/09/12

※140SS​

 

 仰ぎ見るだけで良かったのに。触れられる距離だと躊躇う。焦がれるわたしを知らぬ振りする彼の無防備な横顔たるや、きっと美術品と言っても過言では無い。不意に視線が交じり、目を細めた彼に手を絡まれる。「遠慮なんて、もういらねぇでしょう」その瀟洒な優美に触れることへ、わたしは疚しさを感じていた。

write:2020/09/12

edit  :2021/02/09

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