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​2020/09/01

※2020/08/30のB面​

 

忘れようと、彼女では無い女性を抱いた。結論として、表現し難い謎の違和感だけが残り、鬱憤がさらに募っただけだった。あいつなら、こんなに煩く喘がない。あいつなら、爪を立てて背中を引っ掻きやがる。──あいつは、落ち着いた見た目からは想像つかないほど勝気な性格で、思わぬ意趣返しにおれはいつももどかしく想っていたが、しかし内心は嬉しくて楽しんでいた。きっかけが食の好みの合致ということもあって、頻繁に食事に出かけていたっけ。その度に、食う割には痩せ型のおれに対して「女の敵だ」と睨みながら嫌味を喚き散らしていましたね。​……なぜ、忘れようとしていたのに、懐い出してしまうのか。何の応報か、透明な面影がおれの背中に張り付いている。おれは一生、彼女という物差しでこれからの恋人を比べていくんでしょう。本当に、最低な女だよね、おまえ。

可愛可愛は憎いの裏

write:2020/09/01

​edit  :2020/10/03

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