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​2020/02/28

※「○・○・○で文を作ると好みがわかる」診断メーカーより

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 君を強く照らす陽射が、まるで後光のように輝く。蛍光灯に透ける長い髪に、不健康にかがよう汗ばんだ素肌。今にも折れそうな痩身からは、鼓膜を突き破かれそうな激しいシャウトが続けざまに発せられていて、わたしの五臓六腑に重く響いた。乱れた前髪で顔が翳ったかと思えば、その深い闇の奥で氷柱のように冷たくて鋭い視線が光る。

 手が届きそうな低いステージの上で、熱病に浮かされた激情を吼えるその御姿は、あまりにも眩しすぎてわたしから遠のいていく。それでも、一度で良いから触れたくて、一生懸命手を伸ばした。人の波に埋もれたわたしを見つけてもらえる訳が無いのに、必死で手を振った。

 一瞬だけ目が合ったような気がするのは、きっと気のせい。スポットライトの光で下で蠢くわたしのことなんて見えるはずが無いから。彼のことが好きで好きで好き過ぎて、つい淡い期待をしてしまう──

 キィィン、と甲高いハウリングに思考を中断させられた。まるで『今のおれに集中しろ』と言わんばかりの麻酔に、脳がじりじりと痺れる。

 わたしの世界で、君だけは間違いなく、天使だった。

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君・陽・光で文を作ると

好みがわかる

 

write:2020/02/28

​edit  :2021/04/17

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