生きづらい。
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2020/01/13
※「同人タイトル」スロットメーカーより
ネズに無理やり棺へ入れられる夢を見た。あの細腕からは想像も出来ないほどの力強さに、全くと言って良いほど敵わなくて恐怖に震える。それ以上に恐ろしかったのは、そのヒト型がネズの姿かたちをしているのに、顔が真っ黒に塗りつぶされているかのように何も見えなかったこと。感情が何も感じ取れない。どんな抵抗も空しく、遂に棺を閉じられて、目を開けているはずなのに自分の手すら見えなるほど、視界が真っ暗になった。わたし、ネズのせいで死ぬんだ。そう思った瞬間に、瞼が開かれるように視界がひらけた。カーテンの隙間から朝日が差し込んで薄暗くひかる天井は、見間違うことのないネズの部屋のもの。横には、黒と白の長い髪を至るところに散乱させながら、わたしに絡まって寝息を立てているネズが居た。少し湿っているシーツとデュベの感触と、抱き着いているネズの骨張った肢体の感触で、自分もネズも一糸纏わぬ状態であることを思い出させられる。昨晩は、大変お楽しみでした。ええ、とても。……ネズとは、ジムチャレンジの時からの“知り合い”で、今ではちょっと人に言いにくいような“知り合い”になっている。元はと言えばわたしのせいでそうなったわけだけど、ネズもネズで面倒事が嫌いなら拒めば良いのにと考えてしまう。兄貴性分なのか博愛主義なのか、トレーナーとしての才能は凡人で、社会で生きていくための教養も持ち合わせていなくて、結果何者にもなれなかったわたしでさえ受け入れてくれたから、今の今までこんな関係を続けている。ネズはやさしいから、何も聞かないし、何も言わない。ただわたしの柔くて敏感な一点を穿って、浅く息を吐きながら薄い隔たりの向こうで果てるだけ。でも、わたしにとってはそれが居心地が良かった。何にも役に立たないわたしが、唯一役に立てること。わたしに役割を与えてくれたネズにはつい甘えてしまう。事後特有の疲れに軋む身体をよじると、絡まっていたネズの腕は力なく解けた。夢の中ではめちゃくちゃに強かったのに。静かに呼吸を繰り返すネズの寝顔と向き合う。化粧をしていない肌は病的に白くて、生きているのか少しだけ不安になった。いつも気怠げな双眸は今重く閉じられていて、薄い唇が軽く開いている。穏やかに眠るその顔はなんだか幼そうに見えて、胸がときめいてしまった。普段あんなに気を張っているのに、わたしの前ではこんな姿をさらしてくれるんだ。それは少なからず優越感だった。ネズのことは嫌いじゃない。でも好きでもないからこんな関係になっているんだけど。対して、ネズはどうしてわたしと寝るのか、その真意をわたしは知らなかった。こんなこと以外に会うことが無ければ、そもそもネズがわたしのことを好きだなんて一度も言われたことも無い。きっと、今ネズに特定の女性が居ないから、都合の良い捌け口先なのだろう。わたしがネズを捌け口先に選んだのもあるかもしれない。お互いに持て余した欲を発散出来る。たぶん、それだけ。でもそれが良かった。この関係は、お互いの利益だけで成り立っている。いつか特定の人が出来たら、この関係は終わり。要らなくなったら捨てるし、捨ててもらって構わない。ただ、それまでは、その時までは、あなたに縋らせて欲しい。ネズの腕の中に頭をねじ込ませて、胸元に耳を当てながら目を閉じる。薄暗い世界は途端に真っ暗になって、それは何だか見覚えがあったはずだったけど、もう忘れてしまったみたい。ネズの心音に呼吸を合わせて、また眠りに落ちていく。わたしにとってネズは、きっと都合の良い棺だったんだ。
朝 と都合の良い 棺
write:2020/01/13
edit :2021/06/13